煩雑な青と、それにまつわる何か。
 
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ときどき、きみと話す。

早めに就寝中のムスコが、寝室になったリビングから、隣の部屋にいる私を呼ぶ。

「ねぇ、そこ、しめてよ。まぶしいよ」

ムスコが部屋の奥で眠ればいいじゃないかと返すと、ぷうっとむくれて、

「だって、もう(今寝ようとした)ここにあたまをつけてしまったんだよ?」と頭を置き直して、いたずらっぽくにんまり。

 

ムスメは部活も楽しくなってきたようで、分かっちゃいたけど勉強は二の次。

グループ通話なんて文明の利器で、みんなとバカ話をしながら、勉強わかんないって笑ってる。

できればもう少し、購入した教材分くらいは努力して欲しいんだけどなぁ。

 

相方は、すっかりはまれるゲームにご執心。

いつものことだけど、腰を痛めて朝起きないのはダメだからね。

 

わしはこの生き辛い海を、なんとなーくぷかーっと浮かびながら、次は何をしたいのかなと自問自答する。

 

ときどき、きみと話す。

動き回るのも億劫なくらいのぐったりした湿度の夜に。

清冽な空気に目を見開きたいはずなのに、まぶたもろくに上がらない朝の光に。

明日もきっと、みんな忙しいだろうから、

ほんの少しだけ、話を聞きたいとせがむ、そんな寄る辺のないただのひとりごと。

子等の行く先へ。

ムスメが高校の入学式を迎えて十日余りが過ぎた。

同じ日に、ムスコも小学3年生へ進級。

他人様の子供は成長が早い。と良く言うが、自分の子供だってずっと早い。

 

何故か入学・進級式のこの日に限って終日どしゃぶりの雨だった。

沢山の希望や不安をまるまる抱えてそこへ放り出された。ポポーンと。

それは子等のことでもあり、親である自分のことでもあることを、改めて噛みしめる。

 

 

そういえば先日、入学式までに準備が必要だったレポート課題が終わらせられなくて苦労してたムスメも、なんとか完成までこぎ着けた。自由選択で彼女が選んだ新書が「ロボットとは何か」というもので、

双子とさえ思われるほど完成度の高い自分自身のアンドロイドを作った作者が提言している言葉のひとつひとつがとても興味深い。これから更に新しい時代が、遅からず訪れるのだろうなと感じさせる。

その中で、筆者はこう述べていた。

 

『「人は表面的にしか人を認識していない」というのはかなり真実に近いと思う。』

 

これには、自分にとって耳の痛い一言だ。

うちでぼんやり携帯をいじっているムスメを少なからず疎ましく歯痒い思いで、見かねてついつい苦言を呈してしまうし、

外で勉強してくるとか、自分の目の届く届かないに関わらず、課題に取り組んでいる姿が想像できるのを感じると、ほっとしてしまうのだ。

ムスメはちゃんと勉強してるなぁ、と。

それは、私がムスメを表面的にしか認識していないという真実に他ならない。

これではムスメもムスコも行こうとする道に迷うだろう。

 

つい道を示してばかりの自分をぐっと我慢して、道から離れた行き先を、ただ明るく照らし出すだけの役目を、私は負っていかねばならない。そう思うしかない。

ただ、子等の行く先を。

月日は百代の過客にして。

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こんなに時間って遅く流れるものだったかなぁ。

 

ムスメは第一志望である公立高校を受験し、二日後には中学校卒業。

それから合格発表までの五日間はじりじりと時間が過ぎ、気もそぞろな日々だった。

受験の手応えは本人的にはあったようだけど、とにかく合格できるかは全くの未知の世界だったから、どんな心積もりをしていればいいか本人にも、また家族にも分からずおろおろするばかりだった。

躙り寄る不安といくらかの安堵。合格への期待か、不合格の絶望か。

受験を終えた市内数万人の受験生とその親が、同じような時間を過ごしていたのだろうかと思えば、ちょっとだけ気持ちは落ち着いた気がする。

 

ムスメは見事合格し、憧れの高校生活への切符を手にした。

 

で、その瞬間から時間が加速し続けている。

え?あれ?いつの間にか一週間過ぎちゃったよ?春の暖かさにうきうきする余裕ないよ?前言撤回!てっかーい!

 

ともかく、ムスメに卒業と合格、おめでとう!